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コラムタイトル

費用から効果まで!認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)を解説

リード

「認知症デイサービスとは、どういうサービス?」「一般的なデイサービスとはどう違うの?かかる費用や得られる効果は?」

認知症の方を自宅で介護している方の中には、デイサービスを利用することで少しでも精神的・身体的負担を減らせないかと考える方もいることでしょう。この記事では、介護福祉士・小林隆雄さん監修のもと、認知症デイサービスについて徹底的に解説します。一般的なデイサービスとの違いや通所することで期待できる効果、かかる費用を紹介。さらには認知症の方がデイサービスに行きたがらない時の解決法も併せてお伝えします。

※この記事では、民間施設は「入居」、公的施設は「入所」、両方をまとめて表現する場合には「入居」と表現しています。

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コラムサマリ

INDEX

■認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは?

■一般的な通所介護(デイサービス)との違い

・少人数制なので、介護が手厚い

・認知症の専門的ケアが受けられる

・地域密着型のサービスなので参加しやすい

■認知症デイサービスの種類

・種類は「単独型」「併設型」「共用型」の3種類

・認知症デイサービスの人員配置基準

■認知症デイサービスの1日のスケジュール

■認知症デイサービスの効果

■認知症デイサービスの利用条件

■認知症デイサービスを利用するメリット・デメリット

・メリット

・デメリット

■認知症デイサービスにかかる費用

■認知症デイサービスを選ぶ時のポイントと注意点

・ケアマネジャーに相談する

・インターネットで情報を集める

・認知症デイサービスに期待する項目と、その優先順位を決めておく

・事業所の見学や体験利用をしてみる

■認知症デイサービスを見学する時にチェックすべき6項目

■認知症の方が認知症デイサービスに行きたがらない場合の解決法

■認知症デイサービスを利用して介護者の負担を軽くしよう

本文

認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは?

認知症デイサービス(認知症対応型通所介護)とは、以下の3つを目的として運営している認知症の方向けの通所介護サービスのことです。

• 認知症の方が在宅生活を継続できるよう心身機能の維持・向上を図る          

• 自宅に引きこもりがちな認知症の方の社会的孤立感を解消する

• 認知症の方を介護する家族の精神的・身体的負担の軽減を図る

認知症の方が可能な限り自立した生活を自宅で送れるよう、機能訓練やレクリエーションなどのサービスを提供しています。送迎サービスも行っているため、介護する家族の負担が減ることが期待できます。

一般的な通所介護(デイサービス)との違い

一般的なデイサービスと認知症デイサービスの違いは、大きく分けて3つあります。

少人数制なので、介護が手厚い

認知症デイサービスの利用者の定員は12名以下と定められています。職員1人に対する利用者の数が一般的なデイサービスよりも少ない分、1人1人へ手厚い介護が可能です。 少人数制のため、認知症の方が苦手な大人数での集団行動や知らない方とのコミュニケーションを避けることができます。

認知症の専門的ケアが受けられる

認知症デイサービスの利用者はすべて認知症の方です。そのため認知症に関する知識や経験が豊富な職員が多く、1人1人に合った介護サービスを提供してくれます。特に施設の管理者は、都道府県が開催する「認知症対応型サービス事業管理者研修」の修了を義務付けられており、より専門的な知識を習得しています。

一般的なデイサービスでは重度の認知症の方は断られることが多いですが、認知症デイサービスはそのような方にも柔軟に対応してもらえます。

地域密着型のサービスなので参加しやすい

認知症デイサービスは地域密着型サービスの1つで、住み慣れた地域で生活ができるよう支援するサービスです。新しい環境や知らない人が苦手な認知症の方にとって、なじみの土地や慣れ親しんだ人の中で安心してサービスを受けることができます。

近くの公園を散歩したり、地域のイベントに積極的に参加したりできる認知症デイサービスもあります。

認知症デイサービスの種類

ここでは、認知症デイサービスの種類について解説します。

種類は「単独型」「併設型」「共用型」の3種類

認知症デイサービスには「単独型」「併設型」「共用型」の3種類があります。

〈表〉認知症デイサービスの種類と概要

認知症デイサービスの種類概要
単独型認知症デイサービスとして単独で運営している
併設型介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどに併設されている
共用型グループホームなどのリビングや食堂といった地域密着型サービスの高齢者施設で共有スペースによるサービスを提供している

共用型の場合は、グループホームなどの入居者とともにサービスを受けることになります。

認知症デイサービスの人員配置基準

認知症デイサービスの人員配置基準は、単独型・併設型と共用型で異なります。人員配置基準によって利用できる内容などが異なるため、事前に確認しておきましょう。それぞれの人員配置基準は以下のとおりです1)。

〈表〉認知症デイサービスの人員配置基準

単独型・併設型の人員配置基準
生活相談員(社会福祉士など)サービス提供時間に応じて専従で1人以上
看護職員(看護師・准看護師)または介護職員専従で1人以上+サービス提供時間に応じて1人以上(看護職員の配置は必須ではない)
機能訓練指導員1人以上
管理者厚生労働大臣が定める研修(認知症対応型サービス事業管理者研修)を修了している者が常勤専従
共用型の人員配置基準
生活相談員、看護職員または介護職員、機能訓練指導員使用する施設の入居者と認知症デイサービスの利用者の合計数によって異なる
管理者厚生労働大臣が定める研修(認知症対応 型サービス事業管理者研修)を修了している者が常勤専従

参考資料

1)厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」

認知症デイサービスの1日のスケジュール

認知症デイサービスの1日のスケジュールや食事についてご紹介します。

施設によって細かな流れや時間は異なりますが、基本的な1日のスケジュール例は以下のようになっています。

〈表〉1 日のスケジュール

時間内容
8:30~9:30施設への送迎
10:00 ~12:00   健康チェック完了後、個別機能訓練、アクティビティ、入浴など
12:00 ~13:00昼食
13:00 ~15:00個別機能訓練、レクリエーション、アクティビティ、ボランティア活動など
15:00~おやつ
16:00~自宅への送迎

施設での活動が合わなければ編み物や折り紙など本人が得意とする活動に取り組むことも可能です。

また、食事は配食や冷凍のお弁当が提供されることが多く、ひな祭りやクリスマスなどのイベント時には、それに合わせたメニューが登場する場合もあります。職員が利用者のペースで食事を楽しめるよう、丁寧にサポートしてくれます。

施設によっては「ソフト食」「刻み食」など、介護状態に合わせて食事形態を変更できる場合もあります。希望する場合は施設に問い合わせてみましょう。

認知症デイサービスの効果

より具体的なメリットは後述しますが、認知症デイサービスによって期待できる効果は、大きく分けて以下の3つです。

• 定期的に健康チェックができる

• 心の安定や孤独感の解消につながる

• 認知症の改善・症状の緩和が期待できる         

認知症デイサービスでは、血圧測定や体温測定といった健康チェックが毎回行われます。そ のため利用者の体調をきちんと把握でき、異変が見つかった場合はすぐに対応ができます。 認知症になると、自宅に引きこもりがちになるケースが多いですが、認知症デイサービスに 通所することで気分転換になりますし、家族以外の方との交流は認知機能によい刺激を与 えます。

また、認知症デイサービスで行われるレクリエーションや機能訓練は、認知症の改善、症状の緩和に効果があるといわれています。認知症に関する知識が豊富な職員が、利用者に寄り添ってサポートしてくれます。

認知症デイサービスの利用条件

認知症デイサービスの利用条件は、以下の3つを満たしていることです。

• 医師によって認知症と診断されている

• 要介護1以上の認定を受けている

• 事業所と同じ市区町村に住んでいる            

自治体によっては、周辺地域に住んでいる方の利用を認めているところや、認知症以外と診断された方でも施設の利用を認めているところもあります。そのため、一度地域包括支援センターや担当のケアマネジャー、また、通所を希望する認知症デイサービスに直接相談してみるとよいでしょう。

要支援1もしくは要支援2の認定を受けた場合は、要支援の方向けの認知症デイサービス (介護予防認知症対応型通所介護)を利用できます。多くの場合は認知症デイサービスに併設されています。

認知症デイサービスを利用するメリット・デメリット

ここでは、認知症デイサービスを利用するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

認知症デイサービスのメリットは、具体的に6つ挙げられます。

• 介護する家族の負担が軽減される

• 社会的な孤立感の軽減や心の安定につながる

• 認知症に精通している職員による手厚いケアが受けられる

• 家族が、送迎時にデイサービスでの様子を確認したり、認知症に関する悩みを相談したりできる       

• 利用者1人1人に合ったレクリエーションや食事を楽しめる

• 利用者のやる気や自信を引き出すような機能訓練ができる

認知症は進行するほど症状も重くなるため、どうしても介護する家族に大きな負担がかかります。息つく暇もないほど介護が大変になることもあるでしょう。

しかし、認知症デイサービスを利用すれば朝から夕方までの時間は介護から解放されます。 ゆっくり休んだり趣味を楽しんだりと、自分の自由な時間を確保できるのです。

また、簡単な調理や配膳など、できる範囲で利用者本人が行う認知症デイサービスもあります。それによって、本人のやる気や自信を引き出す効果が期待でき、生活能力の低下も防げます。

デメリット

認知症デイサービスは様々なメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

• 事業所のある地域と同じ地域に住民票がないと利用できない     

• 少人数制だからこそのストレスを感じる可能性がある                

認知症デイサービスは地域密着型サービスのため、住んでいる市区町村の施設しか利用ができません。しかし、先ほどもお伝えしたとおり、ほかの地域に住んでいる方が申込可能な 施設もあります。気になる方は一度調べてみましょう。

また、少人数制はメリットの1つでもありますが、人間関係が限られていることでかえってストレスを感じることもあります。相性のよくない職員や利用者がいる場合には早めに対応を話し合う必要があります。

認知症デイサービスにかかる費用

認知症デイサービスの利用料金は、事業所や利用時間によって異なります。単独型・併設型・共用型の1回あたりの目安となる料金は以下のとおりです2)。

〈表〉単独型の利用料金の目安(1割負担の場合)

 3時間以上4時間未満4時間以上5時間未満5時間以上6時間未満6時間以上7時間未満7時間以上8時間未満8時間以上9時間未満
要介護1542円568円856円878円992円1024円
要介護2 596円625円948円972円1100円1135円
要介護3652円683円1038円1064円1208円1246円
要介護4707円740円1130円1159円1316円1359円
要介護5761円797円1223円1254円1424円1469円

〈表〉併設型の利用料金の目安(1割負担の場合)

 3時間以上4時間未満4時間以上5時間未満5時間以上6時間未満6時間以上7時間未満7時間以上8時間未満8時間以上9時間未満
要介護1  490円514円769円788円892円920円
要介護2540円565円852円874円987円1018円
要介護3588円617円934円958円1084円1118円
要介護4638円668円1014円1040円1181円1219円
要介護5687円719円1097円1125円1276円1318円

〈表〉共用型の利用料金の目安(1割負担の場合)

 3時間以上4時間未満4時間以上5時間未満5時間以上6時間未満6時間以上7時間未満7時間以上8時間未満8時間以上9時間未満
要介護1  266円278円444円456円522円539円
要介護2276円289円459円471円541円558円
要介護3285円298円476円488円559円577円
要介護4294円308円492円505円577円596円
要介護5304円318円509円521円597円617円

利用料金には送迎の費用も含まれていますが、食費やおむつ代のような日常生活費は別途かかります。食費は1食あたり500円程度の事業所がほとんどです。また、入浴や機能訓練、専門的なケアなどが提供されることで追加費用が発生することがあります。これをサー ビス加算といいます。サービス加算をするかどうかは施設ごとに異なるので契約時(認知症デイサービスの利用には通所介護契約書の締結が必要となります)に確認するようにしま しょう。

参考資料

2)WAM NET「介護給付費単位数等サービスコード表(令和3年4月施行版)」

認知症デイサービスを選ぶ時のポイントと注意点

認知症デイサービスは施設によって雰囲気や行われる活動が多少異なります。家族みんなが納得できるようなところを見つけるためにも、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

• ケアマネジャーに相談する

• インターネットで情報を集める

• 認知症デイサービスに期待する項目と、その優先順位を決めておく            

• 事業所の見学や体験利用をしてみる

ケアマネジャーに相談する

認知症デイサービスを利用するには、担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらう必要があります。ケアプランとは、利用者の健康状態などを考慮し、介護サービスをどのように利用するかを計画したもので、ケアマネジャーが作成します。地域の介護サービスについて熟知しているケアマネジャーであれば、利用者本人の心身の状態や性格に合った事業所をアドバイスしてくれるでしょう。

ただし、すべての決断をケアマネジャーに任せていると、「思っていた施設と違った」といった齟齬を生じる可能性があります。利用者本人や家族の要望をきちんと伝えておくことは必要です。

インターネットで情報を集める

認知症の方に合った認知症デイサービスを探すには、インターネットで情報を集めるのも1つの方法です。ウェブサイトには、サービス内容や料金表だけでなく、職員や利用者の様子やデイサービスの雰囲気などがわかる情報が載せられていることがあります。また、検索すれば口コミ情報が出てくる場合もあります。

認知症デイサービスに期待する項目と、その優先順位を決めておく

「自宅から近い」「事業所の雰囲気がよい」「食事がおいしい」「趣味を楽しめる」など、認知症デイサービスを提供する事業所に期待することを事前に決めておきましょう。ただし、すべての希望を満たす事業所を見つけるのは難しい場合もあるため、優先順位を決めておくことも大切です。実際に通所する本人の希望もよく聞いて、絶対に譲れない項目を決めておけば、事業所選びに迷うこともなくなります。

事業所の見学や体験利用をしてみる

候補となる認知症デイサービスをある程度絞ったら、必ず見学に行きましょう。調べた情報やケアマネジャーから聞いた情報がどれだけよくても、実際に利用してみると「何か違う」 と感じるケースがあります。

施設によっては体験利用を実施しているところもあるため、積極的に試してみましょう。

認知症デイサービスを見学する時にチェックすべき6項目

施設へ見学に行く時は、以下の6項目をチェックしておきましょう。

• 施設の全体的な雰囲気はどうか

• 職員の対応や言葉遣いは丁寧か

• 利用者の方の様子や表情は穏やかか

• 利用者本人が気に入るポイントはあるか

• 施設内はきれいに掃除されているか

• 医療機関との協力体制や施設内の設備は整っているか                

気持ちのよいコミュニケーションが取れており、認知症の方のペースを尊重したケアが行われているのなら、通所しても心地よく過ごせる可能性が高いといえます。

また、施設の雰囲気が通所する利用者に合うか、本人が希望する条件を満たしているかの確認も必要です。

認知症の方が認知症デイサービスに行きたがらない場合の解決法

最初から無理なく認知症デイサービスに通所できる認知症の方もいますが、行きたがらない方も多くいらっしゃいます。嫌がっている理由は人それぞれなので、まずは本人が行きたがらない理由を探ってみることが大切です。

以下では、拒否理由としてよく挙げられるものとその解決法を紹介します。

認知症デイサービスの拒否理由としてよく挙げられるもの解決法
外出自体の意欲が湧かない

• 本人のやる気を引き出すような声かけをする

• 本人の趣味や楽しみができる事業所を探す

どんなところに、何をしに行くのかわからない

• デイサービスが楽しいところであることを印象付ける

(「○○をしに行きましょう」「○○さんに会えるかもしれないよ」といった声かけをするなど)

出かける準備に追われると不安を感じる

• 必要最低限の準備だけ済ますようにする(朝の服薬などがある場合はデイサービスで対応してもらえるか相談する)

• 準備などやるべきことを、一度に伝えず、1つ1つ具体的に伝える

介護が必要なことを受け入れたくない

• 「施設での調理を手伝ってほしい」「困っている方の手助けをしてほしい」と、行かないと困る方がいることを印象付ける(職員にも協力してもらい、声がけをしてもらう)

•  デイサービスに行ってほしい理由を具体的に伝え、情に訴える

他人とコミュニケーションを取るのが苦手

• 施設に慣れるまで家族が同行する

• 短時間の利用から始める

• 職員と連携して、無理に人と関わらせない

デイサービスとの相性が悪い(嫌なことがあった)

• 職員と対策を話し合う

• 本人が楽しめるような事業所を新たに見つける

認知症デイサービスへ無理やり行かせようとすると、より強い拒否反応を示す場合があります。なぜ嫌がるのかを考えながら、職員やケアマネジャーと諦めずに対応を考えていきましょう。

認知症デイサービスを利用して介護者の負担を軽くしよう

認知症デイサービスは、認知症の方を対象とした通所介護サービスです。認知症に精通している職員による手厚いケアを受けられるため、症状の緩和や悪化予防が期待できます。家族への負担も軽減されますので、興味のある方はお住まいの地域の事業所を調べてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆協力

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マネコミ編集部

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